【海外マーケティング事例】シンガポール初上陸! DIY総合ショップMR D.I.Y.の新規出店時のマーケティング施策

こんにちは、キャメです。2018年8月18日に東南アジアで600以上展開する総合DIYショップ、MR D.I.Yがシンガポールに第一号店をオープンしました。
本記事ではチラシや屋外広告、Google Formを使った個人情報の収集等を中心に、参考になったマーケティング施策を本記事でお届けします。

マーケティングの事前情報

MR D.I.Y.はJurong East地域のショッピングモールWestgateの3階にお店があります。
まずは「MR D.I.Y.がどういうお店か」、「Jurong EastとWestgateがどういうところなのか」をご紹介します。

MR D.I.Y.とは?

日本人はほぼ知りませんが(私も知りませんでした)、東南アジアで600以上展開する総合DIYショップです。マレーシア発でマレーシアに430店舗あり、タイに115店舗、インドネシアに50店舗、ブルネイに4店舗あります。MR D.I.Y.の名の通り、DIY関連商品が多数販売されておりますが、食器棚、靴箱、靴下、芳香剤、おもちゃなど、日用品も多数売られており、日本でいうドン・キホーテのような感じです。
MR D.I.Y.公式サイト
※上記はグローバルサイトです。まだシンガポールには対応していないようです。

MR D.I.Y.の外観(一部ぼかし)

D.I.Y.製品が多数売られている

日用品も揃ってます

Jurong EastとWesgateとは?

MR D.I.Y.ができたJurong East地域はシンガポールの西側に位置し、近年政府が副都心として急速に開発を進めている地域の一つです。駅周辺にはWestgate、JEM、J Cube、IMM、Big Boxの5つのショッピングモールが集積しています。

Jurong East駅とWestgateをつなぐ連絡通路(一部ぼかし)

Jurong East地域の中心であるJurong East駅は複数の路線が交差する交通のハブであり、バスターミナルもあり、頻繁に人が行き交いします。また、オフィス街も開発されビジネスマンが多く働いており、住宅街もあるため人口が多く、いまシンガポールで最も注目されている都市の一つです。
WestgateはJurong East駅に直結する大型ショッピングモールです。

Westgate内の様子

MR D.I.Y. のマーケティングポイント

新規オープン告知用チラシの配布位置

私がMR D.I.Y.を知ったのはオープン前日からJurong East駅とWestgateをつなぐ連絡口でチラシが配布されていたからです。

実際にチラシが配布されていた通路

本チラシが配布されていたポイントはJurong East駅で働くビジネスマンや家に駅周辺の家に帰る住民が通るため、交通の要所の一つをチラシでしっかりと抑えていました。Jurong Eastからバスに乗る人は本通路を使わずやJurong EastからJEMという別のショッピングモールにも直結しているのですが、そちらでは巻かれておらず、上記層はWestgateでD.I.Yや日常品を買わない可能性が高いため注力していなかったと思われます。「Westgate側のオフィスで働くビジネスマン」「Westgateの買い物客」「Westgateを行き帰りに通る近隣住民」に効果的にチラシにより新規オープンすることを伝えられていました。

インパクトのあるエスカレーター広告

私がチラシを受け取り、Westgateのエスカレーターに乗る際に、MR D.I.Y.のエスカレーター広告を目にして「こんなところに広告が出せるのか!」と驚きました。

印象的なエスカレーター広告

Westgate側のコンドミニアム(マンション)やHDB(団地)に住む住民は駅に行く又は駅から帰る際に本エスカレーターを利用するため、タッチポイントとしてはインパクトもあり、ほぼ必ず目に入るため効果的です。

一定金額以上買えば必ずもらえる景品

私がMR D.I.Y.に行ったのは「20ドル以上買えば必ずオリジナル傘もらえる」とチラシに書いていたことがきっかけです。

チラシ該当部分。オリジナル傘がもらえることがアピールされている

シンガポールでは突然雨が降ることが多く、いくつあっても置き場所にそれほど困らないため、傘は景品として良い選択だったと思います。また、私は傘をすぐになくしてしまうため、嫁も「これもらうで!」と意気込んでおりました。DIY製品自体はいらなかったのですが、チラシには日用品もたくさん掲載されており「DIYは興味ないけど、日用品もたくさん売っているなら行けば何か買うものがあるはず。20ドルなら届かない金額ではない」という、私と同じ考えでMR D.I.Y.に足を運んだ近隣住民は多いと思います。

景品と連動した顧客リストの作成

レジにて20ドル以上の買い物をしたところ、「ギフトカウンターでオリジナル傘と引き換えできます」と入り口のカウンターに案内されました。
レシートを見せればすぐに交換してもらえるかと思っていたところ、実際には下記の流れでもらうことができました。

オリジナル傘をもらうまでのプロセス

1. 20ドル以上のレシートを持ってギフトカウンターの店員に掲示
2. ギフトカウンターの卓上POPのQRコードをスキャン
3. スキャン後に表示されるフォーム(Google Form)で個人情報、アンケート回答を入力
4. フォーム送信後に表示される完了画面を店員に掲示

上記プロセスが設置された卓上POP。ユーザーはPOPのQRコードを読み取る

正直なところ、QRコードをスキャンしフォームで個人情報を入力しなければならないため、面倒くさかったです。
ただ、「もう20ドル以上買ってしまったし、少し手間が掛かっても傘がもらえるならもらいたい」という気持ちもあり、最後まで進み、無事にオリジナル傘をもらえました。
「必ずもらえる景品が目の前にある」という状況ですので、ある程度ユーザーにとって手間が掛かる仕組みでもお店側としては良いかと思います。

QRコードスキャン後に表示されるフォーム 1/2
QRコードスキャン後に表示されるフォーム 2/2

上記はMR D.I.Y.のGoogleフォームをキャプチャー
入力項目は氏名に加えて、電話番号やMR D.I.Y.の新規開店を知ったきっかけもあり、今後のマーケティング施策につなげられるアンケートでした。「無料傘プレゼントキャンペーンを何で知りましたか?」という質問項目にNewsPaperもありました。どうやら新聞にも広告を出稿していたようです。

ソーシャルメディアの活用

MR D.I.Y.はシンガポール版Facebookページを7月26日に公開し、以降毎日お店の情報や商品の特徴を投稿していました。


MR D.I.Y. シンガポールのFacebookページ

公開したばかりにもかかわらず、ページ自体に1,651,644いいねが付いていたため(2018年8月19日午前7時30分時点)、ゼロから開設したのではなく、既に展開していた自社Facebookページ(Facebookグローバルページ)のシンガポール版を7月26日にローンチしたと思われます。
Facebookグローバルページとそれを用いた各国版Facebookページの開設方法自体はについては下記記事で解説されています。
Facebookグローバルページとは? 作成方法からその効果まで徹底解説!(ソーシャルメディアラボ)

Facebookは毎日投稿や広告配信により、認知の拡大やフォロワーのモチベーション向上につながります。ただ、MR D.I.Y.自体はシンガポール初上陸のため、フォロワーにはシンガポール人は多くないかと勝手に推測します。
シンガポールにはMR D.I.Y.の地元ともいえるマレーシアから来た人やマレー系の住民はいますが、国民全体に占める割合は約10%で、かつJurong Eastはマレー系が多く住む地域ではないため、集客のインパクトとしては低かったのではないでしょうか。Jurong East外に住んでいる熱烈なマレー系シンガポーリアンが来ていれば別ですが……。どちらかというと今後のマーケティングの布石に近い活用かと思います。

まとめ

以上がMR D.I.Y.のシンガポール初進出のマーケティング施策のポイントです。
数百万投資した大規模なプロモーションというよりは、数十万〜200万ぐらいの費用対効果を重視し近隣住民にアプローチした堅実なマーケティングという感じがしました。変わり種の施策はなく、王道的なプロモーションが中心です。
個人的な一番の驚きは「エスカレーター広告」と「Google Formを使ったアンケートを使った景品の引き換え」です。
シンガポールや海外に進出したいと思っている小売店の方や面白いマーケティング施策を探されている方のお役に立てれば幸いです。

追記

8月21日にMR D.I.Y.のFacebook動画広告も発見しました。
キャプチャーのため、わかりづらいですが、$20が点滅する数秒の動画です。
集客にFacebook広告も活用していたようです。
MR D.I.Y.のFacebook動画広告MR D.I.Y.のFacebook広告をキャプチャーし作成


※上記マーケティング施策は「私が見た又は知ったマーケティング施策」です。他の施策も行っている可能性があり、私見も入っておりますが、ご容赦ください。
※記事中の情報は2018年8月19日時点の情報です。
※写真は全て自分で店舗で撮影してきた写真です。プライバシーや肖像権に配慮し、一部人の顔をぼかしています。