本日はFacebookメッセンジャーを活用したマーケティングツールMobileMonkeyをご紹介します。
MobileMonkeyは2017年にアメリカでローンチされた、Facebookメッセンジャーを活用したマーケティングツールです。
日本語の解説記事がまだないため、せっかくなので本ブログでご紹介します。
目次
MobileMonkeyとは?
Mobile MonkeyとはアメリカのMobile Monkey社が提供するFacebookのメッセンジャー機能を使ったマーケティングツールです。
オンラインマーケティングではアクセス解析ツール、メール配信ツール、ソーシャルメディア運営ツール等、現在市場には様々なマーケティングを支援するツールやサービスがありますが、MobileMonkeyはFacebookメッセンジャーの活用に特化したマーケティングツールです。
MobileMonkeyでできること・魅力
Facebookメッセンジャーを活用してメッセージの一斉配信が可能
企業が既存顧客や見込み客のリストを既に持っている場合、リストのお客様にアプローチする手段として、昔は住所や電話番号がわかればダイレクトメールや電話営業が王道の手段でした。次にインターネットが発達するにつれ、メールマガジンやメール広告が使われ始めてきました。
現在生まれている新しい方法としては「ソーシャルメディアを用いたアプローチ」です。日本ではFacebookやLINEで企業アカウント開設・運用が進んでおり、様々な企業が自社ページをソーシャルメディア内に開設し、情報発信を行っています。
実はいくつかのソーシャルメディアはそのユーザーに一斉に企業からメッセージを配信することができます。
代表例がLINEとLinkedInです。LINEはLINEビジネスコネクトやLINE@等のビジネスアカウントであれば、友達に一斉にメッセージを送ることができます(※以降、一斉メッセージ配信をメッセージブラストと呼びます)。
また、LinkedInはビジネスマンが主に使うソーシャルメディアでは日本よりも海外でよく使われています。LinkedInではユーザーにメッセージ広告(LinkedIn Sponsored InMail)を出稿することができます。LinkedInはユーザー同士やユーザーと企業がやり取りできるメッセージ機能を保有しており、広告を使うことにより、自社LinkedIn企業ページのフォロワーに限らず、LinkedInユーザーのメッセージボックスにメッセージを届けることができます。
LINEやLinkedInなど、ソーシャルメディアを使ったメッセージブラストの最大の魅力は開封率がメールと桁違いに高いことです。
LINEをお使いの皆様ならイメージしやすいと思うのですが、LINEにメッセージが届いたときはLINEから通知が届き、まずは開く方が多いのではないでしょうか? 未読の場合はLINEに未読通知がずっと表示されるため、「未読通知を消すためにメッセージを開く人」も多いかと思います。
メールの場合はメールマガジンやメール広告をユーザーに配信したとしても、ユーザーの大半がメールを開かずに件名だけで読み飛ばす、又は自動的に迷惑メールやゴミ箱に振り分けるのが実情です。そのため、ソーシャルメディアのメッセージ機能を使ったアプローチはユーザーに企業のメッセージを届けることにおいては非常に強力な方法です。
Facebookの場合、企業が自社Faceobookページのフォロワーにメッセージを一斉配信する機能は保有していません。もしメッセージを送る場合は、一人ひとりに個別メッセージを送ることになるため、かなりの手間が掛かります。
しかし、MobileMonkeyを使うと企業がFacebookページからユーザーに一斉メッセージを送信することができます。
Facebookは多くの人がスマホに「Facebookメッセンジャーアプリ」をインストールしており、メッセージが来た際に通知が飛びます。そのため、開封率も非常に高くなります。
実際にMobileMonkeyが公表しているデータによると、「メルマガを用いた一斉メールの開封率の平均は10%-15%」に対し、「Facebookメッセンジャーを用いた一斉メッセージの開封率の平均は70%-80%(かつメッセージを受信してから60分以内に)」とのことです。
開封率70%以上はこれまでメルマガをされたことがある方なら驚愕するほど高い数値です。開封率の高さだけならメッセージブラストは圧倒的なパフォーマンスを誇ります。
WebサイトにFacebookメッセンジャーを用いたチャットを導入可能
MobileMonkeyを利用すれば、企業は自社WebサイトにFacebookチャットを導入できます。
まさにMobileMonkey公式WebサイトにFacebookチャットが導入されているため、実際の利用イメージは公式サイトにてご確認ください。
MobileMonkey公式Webサイト
Webサイトにチャットを導入すれば、企業はWebサイトを訪問したユーザーとリアルタイムでコミュニケーションができます。ユーザーは気軽にチャットで質問ができるため疑問や質問はすぐに解決できる、企業は個別にユーザーとコミュニケーションができるためコンバージョン率が高めることができます。営業サポートやカスタマーサービスを支援するツールとして活用することができます。
Webサイトにチャットを導入するマーケティングツールはKARTE(カルテ)等様々なツールがありますが、MobileMonkeyを活用すると無料でチャットを導入するができます。また、MobileMonkeyのFacebookメッセンジャーでチャットすることのメリットは質問をしたユーザーをそのままメッセージブラストの対象にできることです。
「ユーザーがWebサイトでチャットでメッセージを送る」と同時に「企業は今後のメッセージブラストのリストを獲得」することができるため、まさに一石二鳥です。
また、単なるチャットに加えて、チャットボット化し、ユーザーに様々な質問をチャット側から出し、ユーザーの選択や入力内容に応じて表示するメッセージを出し分けることもできます。チャットボットにより対応を自動化できるため、チャット対応に十分なリソースを避けない企業でもボットをうまく活用すれば効率的にユーザーに対応することができます。
MobileMonkeyを利用する注意点
これまでMobileMonkeyの魅力を解説しましたが、「Facebookメッセンジャーを用いる」ことと「リアルタイムでユーザーとつながってしまう」ことにより、運用で気をつけなければいくつかあります。
顧客対応をする必要があること
Facebookでメッセージブラストを実施した場合、必然的に顧客からの返信もFacebookで受け取ることになります。メールマーケティングによる施策と同様に、顧客対応が生じることがMobileMonkeyを活用する場合の最大の注意点です。
B2B向けサービスの場合は企業から、B2C向けサービスの場合は個人から返信が来ます。マーケターはマーケティングが主業務であるため、営業や顧客対応に関しては専門の部署に対応を依頼したほうが良いでしょう。受け答えによっては顧客からのクレームを招き、企業イメージを悪化させる可能性もあります。
また、もし1万人にメールブラストを一気に行い、1000人から返信が来た場合、リソースが圧倒的に足りず、対応できないことにより顧客の不満がどんどん積もる可能性もあります。
ユーザーからの返信に対し適切な受け答えをするために、顧客対応に対して正しい意思決定ができる営業部やカスタマーサービス部、マネージャークラスの方と連携は必須です。
マーケター単独でMobileMonkeyを活用したマーケティングをするのは危険なため、必ず施策に関連する部署と情報共有を行い、対応フローについて明確にしましょう。
メッセージブラストの対象リストは自分で獲得する必要がある
LinkedInの場合は広告を利用すれば、自社LinkedIn企業ページのフォロワー以外にも一斉メッセージを送ることができますが、MobileMonkeyでメールブラストをできる対象は「自社Facebookページに一度でもメッセージをくれた方」だけです。MobileMonkeyによるメッセージブラストを利用する前に、「ターゲットリスト」は企業が自身で作成する必要があります。
そのため、既に多くのユーザーからメッセージを貰っている場合を除き、積極的に活用する場合は「企業Facebookページにユーザーがメッセージを送ってもらう施策」が必要です。具体的に有効な施策は「WebサイトにFacebookチャットを導入すること」と「Facebookにメッセージを目的とした広告を出稿すること」です。
「Facebookにメッセージを目的とした広告」は下記Facebook公式サイトをご覧ください。
Facebook広告の目的に「メッセージ」が登場
ユーザーからのメッセージを獲得するために、MobileMonkeyのセミナーで紹介された事例として面白かったのでレストランプロモーションです。
「プロモーションコードをゲットしたい方はいますぐFaebookページにメッセージ」といったようなFacebook広告を配信することで、「ユーザーが企業にメッセージを送ることによりメリットを受けられる状態」を作れます。ECサイトでも有効な手法ですので、ご興味があればチャレンジして頂くと良いかと思います。
ユーザーに嫌われる可能性がある
Mobile Monkeyを送れば、昼夜を問わず何回でもユーザーにメッセージを送ることができます。Facebookメッセンジャーでメッセージブラストをしているため、メッセージが届いたユーザーは自分のスマホに通知が飛びます。
そのため1日に数回送るなど、送り過ぎると間違いなくユーザーに嫌われます。
ユーザーは企業からのメッセージをミュートすることができますが、ミュートの方法を知らないユーザーも多数いることが予想されますので、クレームに繋がる可能性もあります。
ちなみに私はMobileMonkeyのWebサイトで試しにメッセージを送って以降、頻繁にMobileMonkeyからメッセージが届き、ゲーム中にメッセージが届いたときはうっかり通知をタップして開いてしまいました。オンラインゲームをしている最中だったため、ゲームを中断したことにより、同じチームのプレイヤーから怒られてしまいました。
また、MobileMonkeyはアメリカにあり、私が住んでおるシンガポールと時差があるためか、深夜や早朝にMobileMonkeyからメッセージが届き、何回か起きてしまいました。強引に起こされかなりのストレスだったため、即行でMobileMonkeyをミュートしました。
本記事を読んでくれた方はまずはMobileMonkeyのWebサイトにアクセスしメッセージを送って、MobileMonkeyがどのような使われているかを知ることをおすすめしますが、数日後にはMobileMonkeyをミュートしたほうがストレスのない生活を送れます。
MobileMonkeyの導入価格
MobileMonkeyは無料版があり、無料で使うこともできます。本記事で紹介した機能は無料版で使うことができます。
また、Pro版やTeam版とさらに高機能なものでも、月に49USDから149USDですので、マーケティングツールとしては安価です。
まずは無料版でアカウントを開設し、様々な機能をテストしましょう。
MobileMonkeyの始め方
MobileMonkeyの利用を始めるためには、まずは下記公式アカウントにアクセスし、アカウントを開設しましょう。
MobileMonkey公式Webサイト
MobileMonkeyは日本語版が存在せず、英語版しかありませんので、英語に不慣れな方は苦戦するかもしれません。
アカウント開設後、自社Facebookページとアカウントを連携させ、各種マーケティングの設定を行います。
下記が管理画面です。英語で使い方がわかりづらいところ(特にチャットボットの設定)もあり、初見で使いこなすのはなかなか難しいです。
まずはMobileMonkeyのウェビナーでMobileMonkeyを学び(頻繁に行っています)、MobileMonkeyのブログで活用法について学ぶことから始めましょう。公式YouTubeを見ることもお勧めです。
MobileMonkey公式ブログ
MobileMonkeyYouTube
また、実際に試すときは実際の企業のFacebookページで試さずに、適当なFacebookページを自分で作り、それをMobileMonkeyに登録し試しましょう。
使い方になれない自社Facebookページで最初から試すのはリスクが高過ぎます。Webサイトにチャットを導入するところから始めてみるのもありです。
まとめ
以上、MobileMonkeyについて魅力と注意点を解説しました。
MobileMonkeyは既存顧客の掘り起こし、新規顧客の開拓、カスタマーサポートで強力なツールであると同時に、コミュニケーションの仕方を間違えると顧客満足度を下げ、クレームを招き企業の評判が悪化する可能性もあるため、必ず関係部署と事前に相談し、オペレーションを確立した上で導入しましょう。
また、本記事で紹介した以外にもMobileMonleyには様々な機能(メッセージブラストの自動化、顧客をセグメント化できる、高度なチャットボットを作成できるなど)がありますので、詳細は公式Webサイトにてご確認ください。
また面白い海外のマーケティングツールを見つけたら本ブログでご紹介します。
※本記事の画像は全てMobileMonkey公式Webサイトをキャプチャーしています。
MobileMonkey