競合のバナー広告を確認する方法とは? バナーデザインの参考に

ディスプレイ広告を出稿する際に、「競合はどんなバナー広告を出稿しているのか」が気になったことはありませんか?
競合のバナー広告を分析し、参考にすることで、メッセージや画像、レイアウトなど、パフォーマンスの高いバナーを作成するためのアイデアを得ることができます。
本記事では競合のバナー広告を確認するための方法をご紹介します。

なぜ競合のバナー広告を分析することが重要なのか

オンライン広告を出稿する際は、目的や製品、ターゲットに応じて、まずは最適な媒体を選定します。
媒体を選定後、バナー制作が始まります。バナーのデザインはクリック率やコンバージョン率といった広告のパフォーマンスに関する指標に大きく影響します。
どういうデザインやメッセージのバナーが、ターゲットユーザーに魅力的に見え、興味関心を惹きつけられるか。
サービスや製品のキャッチコピーやWebサイトのアクセスデータ、顧客のインタビューを通じて、メッセージを考えデザインに取り組むことは重要です。

上記に加え、競合がどんなバナーを出稿しているのかを分析することも、より成果の上がるバナーを制作するために必要なステップです。

競合のバナーのレイアウト、画像、メッセージ、CTAを分析することにより、デザイナーはどういうバナーを作ればユーザーの反応が良いかのヒントが得られます。

また、大手競合であれば、既にオンライン広告に多額の予算を投資し、数々のデザインのバナーを制作し、クリック率やコンバージョン率を高めるためにテストをしています。競合が試行錯誤の末にたどり着いたバナーデザインを参考することにより、効率的に成果の出るバナーを制作できます。

このように競合のバナー広告を分析することはバナー制作する上で非常に大事なアプローチです。

競合のバナーを確認する方法

競合のバナーを見たいと思ったとしても、実際にそれを行うのは簡単ではありません。Googleディスプレイ広告が出稿できるGoogle Adsは広告プレビューという、他社の検索広告を表示するツールを提供していますが、バナー広告は確認することができません。

競合がオンライン広告を出稿している場合、他社のマーケティング担当者はその業界の情報を収集しているため、比較的ターゲティングに含まれる可能性が高いですが、実際に競合のバナー広告が表示されるかは運任せになります。

「たまたま競合の広告が見えたときにスクリーンショットを撮る」という方法ももちろん有効ですが、確率に左右されたり、確認できるバナーはたまたま表示されるものになるため、数多くのパターンを保存することができません。

そこで、これからご紹介するWebサイトやURLを活用して頂ければ、積極的に競合の出稿している様々なパターンのバナーを確認しにいくことができます。

【無料】競合のサイトにアクセスし、リタゲされる

オンライン広告に力を入れている競合であれば、かなりの高い確率でリターゲティング広告※に取り組んでいます。
※リターゲティング広告とは「1度Webサイトにアクセスしたユーザーに対して出稿する広告」です。1度Webサイトにアクセスしたユーザーは、そのサービスを既に知っており、興味をもっている可能性が高く、コンバージョンに繋がりやすいため、広告主にとっては魅力的なオーディエンスです。

特にB2B企業は見込み客の検討期間が長く、ナーチャリングが重要なため、リターゲティング広告に取り組んでいる可能性が高いです。
もしバナー広告を見たい特定の競合がいる場合は、競合のサイトにアクセスし、その後数日は自分に表示されるバナー広告を注視するのがおすすめです。
競合のバナー広告が表示されたときに、すかさずスクリーンショットを撮りましょう。

試しにSansanのWebサイトに訪問したところ、その後すぐにSansanの広告が表示されました。

画像出典:Yahooニュース

この方法も確実に競合のバナーが表示されるわけではありませんが、競合のサイトに能動的にアクセスし、リタゲをされることにより、競合のバナーが表示される確率は一層高くなり、かつ実際のサイトでどのように表示されるかを最も自然な形で確認できるため、おすすめです。

【無料】MOATでグローバル企業のバナー広告を分析

画像出典:MOAT

MOATというWebサイトを使えば、無料で指定した会社の広告バナーを確認することができます。日本で知っている人は少ないかと思います。私もシンガポール人の同僚に教えてもらいました。

日本語対応していませんが、使い方は簡単です。トップページの検索ボックスにバナー広告を見たいブランド名を入力するだけです。

今回は例としてSalesforceの名前を入力します。

画像出典:MOAT

Salesforceは複数のソフトウェアを展開しているため、いくつか候補が出てきます。今回は「Salesforce」をクリックします。

すると、下記のようにSalesforceのバナー広告一覧が表示されます。

画像出典:MOAT

Salesforceは外資系企業であり、グローバルにオンライン広告を展開しているため、英語のバナーが表示されますが、デザインやメッセージは日本語でバナーを作る際にも参考になります。また、デザイナーの方であれば、海外のバナー広告のデザインを見ると刺激を受けるのではないでしょうか。

スクロールして「Load more」ボタンをクリックすると、日本語のバナーも表示されます。日本語のバナーを探す際はどんどん新しいバナーをロードし、見つけ次第スクリーンショットを撮り、保存していきましょう。

画像出典:MOAT

バナーをクリックすると、デバイスやサイズ、バナーが確認できた期間などの詳細情報が表示されます。

画像出典:MOAT

MOATを使うことにより、下記のとおりにSalesforceの広告バナーが分析できます。

バナー分析例
・背景はブランドカラーである水色にグラーデーションを掛けている。
・可愛い自社キャラクターを取り入れ、親しみやすさを強調
・顧客体験や顧客満足度の改善をメッセージとして打ち出している
・「資料請求」をコンバージョンにバナーを出稿している
・資料請求バナーは下記5要素で構成されている。
– 資料名とは別にキャッチコピーを設置
– 表紙と見開きのイメージ
– ロゴを設置
– CTAはボタンではなく、バナー下にラインを引き、文字を載せている
– 「ebook 無料ダウンロード」と、資料のことをebbokと呼び、「無料でダウンロードできる」ことを推している。

Salesforceも様々なテストをした後に、このデザインにたどり着いたと思いますので、資料請求をコンバージョンにバナー広告を出稿する企業にとっては、大いに参考になります。

このようにMOATを使えば指定したブランドやサービスのバナー広告を確認できますが、デメリットとしては、「大手のバナー広告しか確認できない」「グローバル企業の場合はほとんど英語バナーが表示される」ということです。

試しに日本で知名度が高いSansanと入力したところ、候補が表示されませんでした。

画像出典:MOAT

競合が業界トップのグローバル企業の場合はMOATを使えば、スクロールする手間は生じますが、バナー広告を確認することができます。

また、たとえ競合の広告がMOATで見られない場合でも、自社が所属する業界のトップ企業のバナーを分析することは、バナー広告のデザインを考える上で有用です。

特定の日本企業のバナーを見る場合は、有料ツールではありますが、SEMrushがおすすめです。

【有料】SEMrushで競合のバナー広告を分析

SEMrushは世界で400万以上のユーザーが利用しているSEMツールです。ターゲットキーワードの検索数や自社・競合の順位等、SEOに取り組むために役に立つ情報を簡単に取得することができます。

Ayahana Webdesignは自社サービスのSEOやお客様によりよいSEOサービスを提供するために、SEMrushを活用していいます。SEMrushは様々なツールから構成されており、その一つに「ディスプレイ広告」分析ツールというものがあります。

本ツールを使えば、特定の会社のバナー広告だけでなく、ディスプレイ広告のターゲットオーディエンスの属性(年齢、性別、興味関心)、バナー広告のランディングページ、配信先URLなど、ディスプレイ広告を配信する際に参考になるデータを確認することができます。ターゲットオーディエンスや配信先URLはどういう手法で取得しているかは不明ですが、完全に正確ではないと思いますので、参考程度にご覧ください。

それでは、例としてマーケティングツールで有名なb→dashのバナー広告を見てみましょう。SEMrushではバナー広告を確認したい企業のドメインを入力することにより、その企業の広告が確認できます。

まずはドメインを入力すると、ターゲットオーディエンスの属性、広告、配信先など、概要が表示されます。

画像出典:SEMrush

タブを切り替えると、特定他社のバナー広告一覧が表示されます。単なる静止画のバナー広告だけでなく、レスポンシブ広告(画像とテキストで構成される広告、SEMrushではHTMLというカテゴリーに分類)、検索広告も確認することができます。

画像出典:SEMrush

バナーをクリックすると、ランディングページや配信先など、広告配信データも見ることができます。

画像出典:SEMrush

SEMrushを使えば、競合のバナーのデザインだけでなく、ランディングページ、配信先を確認することができるため、デザインのアイデアを得られるだけでなく、ディスプレイ広告の戦略を立案する上で、欠かせない要素のデータも閲覧することができます。

SEMrushは有料ツールですが、ディスプレイ広告に力を入れられたい方には是非おすすめです。SEOや検索広告、ソーシャルメディアの運用・分析にも活用できるため、デジタルマーケティングで幅広く活用することができます。

画像出典:SEMrush

1ユーザーかつProプランなら1ヶ月約1万円で利用できるため、日本の有料のSEOツールに比べると、価格はかなり割安です。

まとめ

本記事では、競合を中心とした特定他社の広告を確認する方法として、「競合のWebサイトにアクセスしてリタゲされる」「MOATを使いグローバル企業の広告バナーを見る」「SEMrushを使い特定企業のディスプレイ広告を分析する」という3つをご紹介しました。

SEMrushは特定企業のバナー広告を確認でき、最も見られるデータが多く有用ですが、実際に広告がどのように表示されているかを見ることも重要で、グローバル企業のバナー広告から学べることもたくさんあるため、競合分析には3つを全てに取り組んで頂くことがおすすめです。

ディスプレイ広告のバナーデザインで悩まれている方は、ぜひ本記事でご紹介した方法を試して頂き、パフォーマンスの高いバナーを制作してください。